【書評・感想】精神科医が教える!『小さなことに左右されない「本当の自信」を手に入れる9つのステップ』(水島広子)

「人からどう思われるかばかり気にしてしまう」「イヤだと思っても断れない」「いつも何かを一生懸命やっていないと不安」「やってみたいことがあってもすぐにあきらめてしまう」などに心当たりはありませんか?

さまざまな生きづらさを抱えている人は、「自信さえあれば、のびのびと自分の思い通りに生きられるのに」と考えたことがあるかもしれません。

今回ご紹介する『小さなことに左右されない「本当の自信」を手に入れる9つのステップ』(水島広子著、大和出版)は、対人関係療法という精神療法を専門とする精神科医の水島広子さんが、どんなときにも折れない「本当の自信」を手に入れる方法を紹介している本です。

『小さなことに左右されない「本当の自信」を手に入れる9つのステップ』がおすすめな方
・自分に自信を持ちたい方
・自己肯定感の低さに悩んでいる方
・人に振り回されるのをやめたい方

特に、
「自分には人に自慢できるようなものは何もないから、自信など感じられるわけがない」と思っている方、
何があっても「自分は大丈夫」と思いながら、しなやかに強く生きていけるようになりたい方、
持ち物やできることが何も変わらなくても、自分の在り方によって本当の自信を感じられるようになりたい方、 は、ぜひご一読いただきたい本です。

『小さなことに左右されない「本当の自信」を手に入れる9つのステップ』ってどんな本?

『小さなことに左右されない「本当の自信」を手に入れる9つのステップ』は、対人関係療法を専門とする精神科医の水島広子さんが、どんなときにも折れない「本当の自信」を手に入れる方法を紹介している本です。

2013年に初版発行されました。

『小さなことに左右されない「本当の自信」を手に入れる9つのステップ』の全体構成

全体の構成は次のようになっています。

●はじめに のびのびと思い通りに生きていくために
●STEP1 心の奥の「自信のなさ」に気づく - なぜ、他人にふりまわされてしまうのか?
●STEP2 「折れない自信」の正体を知る - 「DOの自信」と「BEの自信」
●STEP3 無理に「自信をつけよう」としない - 「感じる」ことから始めよう
●STEP4 「自信がない」のウソを見抜く - 「不安」「衝撃」「喪失感」とのつき合い方
●STEP5 「今はこれでよい」と受け入れる - すべてのことには、事情がある
●STEP6 「ありたい自分」をイメージしてみる - 「BEの自信」を手に入れるために
●STEP7 「自分はどう見られているか」を考えない - 緊張する「相手」「状況」とどう付き合うか
●STEP8 「自信を失わせる相手」にふりまわされない - 相手の批判をスルッとかわす方法
●STEP9 「小さな行動」で一歩踏み出す - こうすれば、もっと自信がつく
●おわりに 「あり方」を大切に生きていこう

STEP1~5は、自信のなさが生活や人生に及ぼしている影響や、本当に自信がある状態とはどんな状態なのか、また、本当の自信を感じるために必要な「今はこれでよい」という感覚について、さまざまな角度から紹介されています。

STEP6~9では、「自信を感じるレッスン①~⑨」「自信を失わないつき合い方①~⑤」「もっと自信をつける行動術①~④」として、具体的な行動のポイントが紹介されています。

『小さなことに左右されない「本当の自信」を手に入れる9つのステップ』著者の水島広子さんについて

著者の水島広子さんのプロフィールは次の通りです。

精神科医。対人関係療法専門クリニック院長。アティテューディナル・ヒーリング・ジャパン(AHJ)代表。慶應義塾大学医学部卒業、同大学院修了(医学博士)。慶應義塾大学医学部精神神経科勤務を経て、現在対人関係療法クリニック院長、慶應義塾大学医学部非常勤講師(精神神経科)。「対人関係療法」の日本における第一人者。2000年6月~2005年8月、衆議院議員として児童虐待防止法の抜本的改正をはじめ、数々の法案の修正に力を尽くし実現させた。(以上、本書 著者紹介より引用)

>>著者 水島広子さんのホームページ

水島広子のホームページ
親子問題、ジェンダー、夫婦別姓など

執筆活動も精力的にされており、著作も70作以上あるようです。

「1テーマ1作」を主義としていらっしゃるとのつぶやきをtwitterでお見かけしました。多作なのにそれぞれ異なるテーマで執筆されているとのこと、それだけでも尊敬してしまいます。

水島先生の他の著作も、機会があればこのブログで紹介したいと思います。

『小さなことに左右されない「本当の自信」を手に入れる9つのステップ』の感想

私が『小さなことに左右されない「本当の自信」を手に入れる9つのステップ』を読んだきっかけは、著者の水島広子さんの別の本を読んで、興味を抱いていたことと、私自身が自信を持ちたいと常々思っていたことです。

この本の『STEP1 心の奥の「自信のなさ」に気づく』では、「自信がない人」が普段どのような考え方や行動を取りがちなのかが紹介されています。

その中には、私に当てはまる!と思うことが沢山ありました。

例えば…

・何かを判断する際に、「自分はどう思うか」よりも「人からどう思われるか」を優先してしまう
・「ダメな自分」を見抜かれたくないので、自分の気持ちや意見を言わない
・一般的に良いと思われる答えや、相手が自分に答えて欲しそうなことを言う習慣がついている
・そんなことばかりしているうちに、自分の気持ちや考えがわからなくなってしまう
・人目を非常に気にする結果、人間らしい楽しみを味わいながら暮らすことができなくなってしまう
・ちょっとしたことを侮辱と感じて怒ってしまう
・「本当の自分」を知られるのが怖い
・「無難だけれども親しくない関係」しか持てない
・「やらなければならないこと」にいつも追われている
・人との距離が一定以上に近くなると、相手を避けてしまう
・何もしないと「人間としての価値がない」と思ってしまう

書いていても「痛すぎる!」と思うくらい、すべて、私自身のことを書いているような気がします。

このような「自分は価値が低い」という感じ方は、「自己肯定感が低い」「自尊心が低い」と言われるのと同じ状態だそうです。

「本当の自信」とは?「DOの自信」と「BEの自信」

一方で「自信がある」という状態はどのようなものでしょうか。

「自信がある」と言う人の多くが「成果を上げられるかどうか」に着目しています。例えば「英語には自信がある」「来月までにxxを達成する自信がある」というように、自分の能力によって何らかの「成果」が得られることを「自信」と呼んでいることが多いのです。

これを本書では「DOの自信」と呼んでいます。何かを「DO(する)」ことによって成果が上がり、評価されることで獲得する自信だからです。

ところが、この「DOの自信」すなわち『「成果」による「自信」』は折れやすく、不安定な性質を持っています。「できる」ことを基盤に置いた「自信」は、それが「できない」状況に陥ると、簡単に失われてしまいます。また、他者からの評価に左右されやすく、同じ「成果」を上げていても、ライバルや評価する人次第で評価は変わります。

これに対し、本書で提示されるのが「BEの自信」です。例えば「『今』に集中する」「現実を否認せずにありのままを受け入れる」というように、自分自身の内的な「あり方」に関する自信が「BEの自信」と呼ばれています。

ここで注意が必要ですが、BEの自信は、「自分は『今』に集中できる」「自分は現実を受け入れられる」という「成果」についての自信ではないそうです。

私は最初まさに「自分は今に集中”できる”」という意味かと思い、「“今に集中”できてない~、やっぱり私はダメだ…」というネガティブなループに入りそうでした。

「成果」に注目すると、それは「DOの自信」になってしまいます。「BEの自信」は、実際に「今に集中できているか」「現実を受け入れられているか」という「成果」とは関係ありません。「そういうことを大切にして生きている」という、生きる姿勢そのものについての、そこはかとない肯定感や安心感が「BEの自信」だそうです。

「今はこれでよい」と見る

この本のSTEP5『「今はこれでよい」と受け入れる - すべてのことには、事情がある』では、「今はこれでよい」という感覚が「自信を感じるために、常に必要な感覚です」と書かれています。たとえ「今のままではダメだ、変わりたい」と考えているとしても、まずは「今はこれでよい」という捉え方を出発点にすることが大切だそうです。

著者の考え方の前提となっているのは、「どんな人も、いつでもできるだけのことをしている」という、人間への信頼です。人間は遺伝情報を持って生まれ、残念ながら「できること」「できないこと」はある程度生まれつき決まっています。努力さえすれば誰もがノーベル賞を受賞できるわけでもなければ、オリンピックに出られるわけでもありません。眠らずに働き続けることもできません。それぞれ能力、性格、これまでの体験、都合、体調といった事情があり、できないことはできないのです。「やる気が出ない」というのも1つの事情で、やる気を失わせる何かがあったとか、体調が悪いとか、理由があるのです。

「あのとき、もっと努力しておけば・・・」と後悔することがあったとしても、そのときにもっと努力できなかったのは、そのときの事情があったからであり、そうでなければやっていたはずです。「できたはずの努力を怠った」と見るのではなく、「あのときはああするしかなかった」「今はこれでよい」と見ることが大切なのだそうです。「できたはずの努力を怠った」というものの見方は、「努力すれば何でもできる」という間違った前提の上に立つものだそうです。

私はまさに、自分の学生時代について「あのとき、もっと勉強しておけば・・・」と後悔ばかりしていたことがありました。そして「努力できない自分はダメな自分」「自分はひどい人間」という、低い自己評価につながっていました。

しかし、当時の自分の置かれていた家庭環境や、それまでの人生経験、当時の自分の性格などを思い出すと、そのときは自分なりに必死でもがいており、非常に残念ですが、それ以外のやり方ができる能力がありませんでした。もっと大人になった今だからこそ、振り返って「もっと他にいくらでも生き方があった、もっと勉強もできたはず」と思えるのですが、当時の自分にはそれに気づく能力がなく、サポートしてくれる存在もおらず、もしかするとサポートに気づく力や求める力がありませんでした。

そのように考えることは、当時の自分に「それ以外のやり方ができる能力がなかった」と認めることであり、痛みを伴います。でも、それが自分の現実だったと受け入れることで、「あのとき、もっと勉強しておけば・・・」という後悔のループからは脱出しやすくなりました。

『小さなことに左右されない「本当の自信」を手に入れる9つのステップ』の感想まとめ

『小さなことに左右されない「本当の自信」を手に入れる9つのステップ』は、対人関係療法を専門とする精神科医の水島広子さんが、どんなときにも折れない「本当の自信」を手に入れる方法を紹介した本です。

「本当の自信」とはどういうものなのか、「DOの自信」と「BEの自信」という切り口で紹介されています。

「成果」に基づく「DOの自信」に対して、自分自身の内的な「あり方」に関する「BEの自信」こそが、折れない自信につながるものだそうです。

また、自信を感じるために常に必要な感覚として「今はこれでよい」という姿勢についても書かれています。

ほかにも、ここでは紹介できませんでしたが、自信を感じるために日常生活で実践できる考え方や行動術などもいろいろと紹介されています。

「自分に自信がない」「自己肯定感を高めたい」とお困りの方は、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

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